再会は、健康診断で。

モテモテで、女性経験は豊富だけど奥さんの千紗ちゃんがまともに付き合った初めての彼女なくせに。


付き合ってもいない女と遊びで寝てた結城さんにそれを言われるとは。人って変われば変わるものだ。


「結城さんも、千紗ちゃんのおかげですっかり常識人ですね」


「……お前、ぶっ飛ばすぞ。ま、でも平根はそれでいいな。じゃないと俺のストレスのはけ口がなくなる」


ニヤッと笑った結城さんらしいその言葉に笑ってしまう。思っていたより、大分心配をかけていたらしい。


今度こそちゃんと西川に謝ろう。すぐには許してもらえないかもしれない。許してもらえるためなら、土下座でもなんでもする。


とりあえず、そこをクリアしないとなにも始まれない。


決意も新たに職場に戻った俺は、結城さんの話を聞いた超常識人の高倉さんに、愛する奥さんの後輩にあんな場所でいきなりキスをして泣かせてしまったことをこっぴどく怒られたのだった。


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