all Reset 【完全版】

 不倶戴天の敵




地面にちっちゃくなって俯いてる亜希を見つけた。



その横でひっついてる奴が……

スダ、か……?



ここまで自分がどうやって来たのか、よく憶えてない。


どの位の時間が経ったのかもわからない。


とにかく渋谷まで来て、ハチ公前の交番で場所を訊いた。


そこから先はとにかく走った。


久しぶりに自分の運動神経に感謝ってかんじだ。



「良平……くん?」



亜希は泣いてるみたいだった。


俺を見上げた亜希の目は、乱反射した照明で涙が光って見える。



「……亜希、帰ろう」



そう言って腕を掴むと、スダから離すように自分の元へ亜希を引き寄せた。



俺はスダって男を見て愕然としていた。


ウルフカットにギャル男ファッション。

この辺りによくいるような奴……。



この軽そうな男と亜希が付き合ってた?



何かの間違いじゃないかと思うくらいだ。



「テメェが亜希の言ってた良平って奴か」



俺の目の前に立ったスダは、やたらヘラヘラしたアホ面で首を傾げる。


人を舐めてかかったような態度で立ちはだかった。



「だったら何だよ?」


「……よくここまで来たな? 褒めてやるよ」



嫌味な態度で奴は言う。


俺は怒りを越えて呆れるまできていた。



「つーかさ、記憶無いらしいじゃん。聞いた時はビックリしたけどっ。マジだったから、更にビックリ?! みたいな?」



なっんだ?

コイツ……。



面白おかしく言うスダに、俺は腸が煮えくり返る思いになった。


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