all Reset 【完全版】



俺にとって……亜希の記憶喪失は笑える話なんかじゃない。



「お前も知ってんだろ? 俺が、亜希の元彼ってこと」



胸中穏やかじゃない俺に対し、スダはさも自慢気にそんなことを言う。



コイツ……マジで有り得ねぇ。



「……さぁ? 知らねぇけど」



俺はわざと挑発する態度で言い返してやった。


すると期待外れだったのか、スダの表情はみるみるうちに曇っていく。



最後の最後まで、奴に調子をこかすつもりはない。



「俺に言う価値もなかったんじゃねぇの? ……アンタみたいのと付き合ったことなんて」



これを言ったら手が出るだろう。


そう思った。


口で勝てなきゃ、手が出てくる。


案の定、その予想は見事に的中だった。



「……テメェ! ふざけんなよっ?!」



スダは勢い任せに拳を振り上げた。


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