all Reset 【完全版】



スダの出来事があってから、まだ一週間も経ってない。


あれから何度考えてみても、やっぱりスダに対する怒りは納まらないし、思い出すだけでイライラする。


きっと、亜希が記憶を失ってなければあんなことは無かったと思う。



記憶喪失に付け込んだ……。



あの事件はそれしかない。


秀が言ったように、亜希の記憶がなくなったことはかなりの範囲で噂になっているとも思った。



あのときの亜希が忘れられない。


今まで見たことがないくらい、弱々しくて小さかった。


泣いてる亜希を抱き締めた腕の感覚が、いまだに残っている。



あんなときにもかかわらず、このまま離したくないなんて思う自分がいた。



その瞬間、

やっぱり亜希が好きだという自分の気持ちを思い知らされたし、偽ることなんてできないと思った。



「良平ー? 何してるのよ?! 早く来なさい」



階段の下から叫ぶような声が聞こえる。


半乾きの髪をもう一回ガシガシとタオルで拭き、俺はぼっさぼさの頭のまま部屋をあとにした。

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