all Reset 【完全版】
第七章 募りすぎた気持ち

 重症患者




大学に通い、それ以外の時間はバイトに費やした。


出勤を増やし、ほとんど毎日の時間を店で過ごしている。


結局、他のバイトは始めてない。


今までより勤務日数を増やせば同じことだった。


知らない場所で、初めて会う人間たちに気を遣い、新しい仕事を覚える。


それを考えてみればだるかった。




夕方近く。


日も短くなって、外は薄暗くなっていた。



隣には女がいる。


中島が開いた合コンのときの、あの“◯◯系”OL。



昼過ぎに、『会わない?』なんてメールが入ってきた。


外に出る気分でもなかったし、面倒臭いからあっさり断った。


なのに、女は家まで押し掛けてきた。


場所なんかもちろん教えてない。


誰に聞いたか知らないけど、扉を開けたら立っていた。


そんな成り行きで、部屋に入れる羽目になった。



数時間経ってると思うけど、ロクな会話もしてない。


来てからずっと、女は脚を“くの字”に曲げて、隣にぴったりくっついて座っている。


平気で男の部屋に押し掛けて来たと思えば、何のつもりか離れようともしない。



言うまでもなく、俺からは指一本触れてない。


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