all Reset 【完全版】

 初めての待ち合わせ




逆の立場だったら、


俺はどうしたんだろう?



秀はやっぱり落ち着いてるし、大人だ。




亜希と秀がやってた交換日記。


見てしまった……。


たぶん、見られることを前提に秀は俺に渡した。



秀は、もう知ってたんだ。



記憶を失った亜希は、残酷すぎた。


でも、誰も悪くない。



だから、残酷なんだ。




『秀くん、まだ見付けてないんだ……』


なんて、渡した日記を読みながら亜希は呟いてた。



秀が亜希の話に合わせて書いた、あの文……。




『俺は、誰の王子様でもないよ。まだ、お姫様を見付けられません』




どんなつもりで書いたかはわからない。


でも、今の亜希にはその深い意味を理解する力はない。


バイト先に呼び出しをくらったあの日から、秀とは会ってない。


日記を亜希に渡したと知らせるために電話をして、数分だけ話をしたのが声を聞いた最後だ。


そのときも、忙しそうな雰囲気を醸し出してた気がする。



『留学したい』



なんて言い出したときは、さすがに驚いた。


今まで一度だって、そんなネタは話されたことなかった。



もしかしたら……

いや……


顔を合わせたくないのないのかもしれない。


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