【完結】オサナナジミ~愛より恋から始めよう~


 *   *   *


「えー! 告白成功してチューまでしたの? すごい、漫画みたい!」


 珈琲を飲み終え、興奮気味に私の話を聞いていた希望ちゃんは声を次第に大きくしながら目を輝かせて言った。

 その様子から、元彼への未練など一切感じることはなく、彼女の中で、悠ちゃんとの恋愛は本当に終わったのだなと勝手に安心してしまった。


「ちょ、声大きいって! 結構恥ずかしいんだから……」


「あ、ごめんね! でもそっかぁ……琥珀ちゃん、本当によかったね」


「うん、色々ありがとう。希望ちゃん」


 彼女には、「ごめんなさい」ではなく、「ありがとう」を言うべきなのだろうと瞬時に感じ、私はそう言った。


「あ、七海ちゃん!」


 そこで、ようやく七海がやってきた。

 彼女は頭のてっぺんを雪でほんのり白く染めながら、コートについた雪を軽く払う。

 気が付けば、窓の外では大粒の雪が降り始めていた。


「やっほー、遅れてごめんねぇ。雪で電車が一本遅れちゃって」


「そっか、大変だったね」


「それで琥珀、バレンタインはどうなったの? 二宮くんとの関係は相変わらず幼なじみのまま?」


 七海の質問に私は無言で首を横に振る。

 結果を知っている希望ちゃんも、七海を驚かそうと、その瞬間を黙って見守っている。


「違うの? え、じゃあもしかして……」


 そして私は満面の笑みで七海へと報告する。

 私と悠ちゃんの、これから始まる新しい関係を。


「悠ちゃんは、私の彼氏になったよ」


 私の言葉を聞いた七海が、店員さんに注意されるレベルの驚きの声を上げたのは言うまでもない。

 後から聞いた話。

 七海はなんと、バレンタインをきっかけに橘と付き合うことになったらしい。

 私の知らないうちに、一体何があったのだろうか。

 これは後々しっかり友達として事情を聞かなければ。

 後日予定した七海への事情聴取のような場面を頭の中で思い浮かべながら、それから私たちは日が沈むまでそれぞれの恋の話に花を咲かせた。

 生まれた時からいつも一緒で、いつの間にか認識は家族になっていて、抱いた恋心がおかしいものなのかもしれないと不安になる夜もあったけれど、私は彼との関係を、家族ではなく、幼なじみではなく、キョウダイみたいなものでもなく、恋人から始めたいと思った。

 そしてその延長線上でいつか、悠ちゃんと本当の家族になれますようにと今の私はただ、そっと神様に願うばかりだ。






【おわり】
< 255 / 255 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:2

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【完結】─続─泣き虫姫のご主人様

総文字数/79,490

恋愛(学園)256ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「姫……」 「何?」 「キスさせて」 思いが通じ合った先にあった幸せ。 ********************* 高校生になったある日。 「……………馬鹿稚尋…」 「…………お前……まさか…………」 澪と稚尋に待ち受ける危機!? 「久しぶりだね?居候させてよ」 突然、稚尋の家にやってきた中学生 桜 弥生(サクラ ヤヨイ) と稚尋との関係は!? 朝宮 澪 アサミヤ ミオ × 桜 稚尋 サクラ チヒロ ★先に、「 泣き虫姫のご主人様」を読まれた方がいいです! 続編ッ!!! 甘苦です☆ .
【完結】泣き虫姫のご主人様

総文字数/99,475

恋愛(キケン・ダーク)155ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「私に近寄らないで……!」 「嫌だね」 この男、本当に最低。 そんな男を本気で拒めない私は馬鹿だ。 桜 稚尋《サクラ チヒロ》 イマイチよくわからない美少年。 朝宮 澪《アサミヤ ミオ》 人一倍泣き虫の美少女。 だけどいろんな事に 興味津々。 稚尋に半分玩具にされてる。 【甘甘】です(>_<) 一部、性的表現含みます 苦手な方はスルーしてね(>_<)! 最高総合3位です! 応援ありがとう! 完結しました♪ 素敵なレビュー、感想くださった皆様\(^o^)/本当にありがとうございます! (C)葉月ナツキ
【完結】LIFE~君と僕の恋愛~

総文字数/140,568

恋愛(純愛)249ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「ねぇ蓮!」 「ん?」 「ずっと一緒にいようね! 約束!」  最愛の彼女に僕は微笑み指切りをする。 「……うん、約束」  残酷な約束をして、僕は彼女にキスをした。 ******************************** ★病弱な秀才男子 櫻井 蓮(さくらい・れん) × ☆純粋無垢なクォーター美少女 鈴葉 海愛(すずは・みあ) ********************************  最初から、出会わなければよかったのかな。  恋がこんなに甘く苦しいものだなんて、知らなかった。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop