元カレバンドDX
 小巻は冷静な顔をして言う。

「やーっぱね~」

「え!?なにが!?急にかしこまったメールになってるし、どういうこと!?」

「合格もしてない歌手志望の女の子と、個人的にメールなんてありえないよ。しかもハートマークつきだよ?下心がみえみえ」

「…………」

「陽愛になんにもなくてよかったよ。歌手になれるチャンス~♪とか言って、陽愛は誘われたらどこにでもついていきそうだし」

「ちょ、小巻!?」

「ごめん、言い過ぎた?」と言う小巻に、「ううん」と返事をした。

「ううん、助かった。ありがとう」と、目を見て言った。

 小巻の慰めるような顔が身に染みる。

 悲しいことには慣れっこだけど、夢を売り物にしたり、出しに使うのは許せない。

 芸能界って、うわさ通りの世界なの?

 コネもお金もないあたしが、就職活動もせずのんきに歌手なんて目指していいのだろうか。

 内定の決まった小巻を見ていると、いろんな不安があたしを襲って、くじけそうになる。

 あたし、本当に夢を叶えられるのかな――
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