元カレバンドDX
 また元カノ(あたし)とバンドをするのが、そんなにイヤなのだろうか。

 あたしは、二つ返事でOKをもらえると思っていたが、そうは問屋が卸さないらしい。

「あのね、単純にみっつーのベースが好きなの!!一緒にバンドもやってたから慣れてるし、勝手もわかるじゃん??それにね、そのときのライブがきっかけでスカウトしてくれたんだよ~」

 なんとか良い答えが見つかったと、あたしは胸をなで下ろした。

「ふーん。それって、どのくらい期待できるもんなの?俺が仕事辞めたら、おまえ保障できんの?」

 と思ったが、なかなか彼は落ちてくれないらしい。

「デビューする方向で動いてくれるみたいだし、契約したらちゃんとお給料出るって言ってたよ。それまでは仕事続けながらでもいいと思うし」

「“みたい”とか、そういう曖昧な表現が恐いよな。音楽業界なんて、水物の世界なんだぜ?いつ流れるかわかんねーじゃん」

 充晴の言葉に、あたしの中のなにかが切れた。

「……のね、」
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