元カレバンドDX
「今、ちょっといい~?」

「少しだけなら」

 つれない感じは2年前と変わらなくて、なんだか懐かしくなる。

「あのね……」と、あたしは話し始めた。

 ストーンスムースレコーズから女性ボーカルのバンドをやらないかとスカウトされたこと。

 そして、そのバンドメンバー探しを自分にまかせてもらっていること。

 最後に、そのバンドのベースをぜひ充晴にやってもらえないかとお願いをした。

「は!?なんで俺なの?」

「あ、えっと……」

 今まで演説のようになめらかに話していたあたしだが、その質問には、すぐに答えが出なかった。

「んーあのね……」

 サラリーマンをしながら音楽をやっている充晴のことだ。

 デビューを望んでいるはずなのに。

 こんなチャンスは二度とないかもしれないのに。

 しかもストーンスムースレコーズなのに。
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