元カレバンドDX
「失礼しまぁ~す」

 恐る恐るドアを開けると、予想通り、あたしの人生を彩った錚々(そうそう)たるメンバーが顔を揃えていた。

「陽愛さん、おはようございます」

 丸山はにっこりと笑って、「こちらへどうぞ」と中央に位置するイスにあたしを招いた。

「あ、ありがとうございます」

「もう少し待っててくださいね。まだもうひとり来ていないんです」

「はい……」

 もうひとり?と思ったけれど、目の前の顔ぶれがすごくて、すぐそっちに気が入ってしまった。

 丸山は、「ちょっと電話をしてきます」と、部屋から出て行ってしまう。

 そして、ストーンスムースレコーズの1室に、あたしと歴代の彼氏たちだけが取り残された。

 正確には、彼氏ではなく遊ばれちゃっただけの人もいるんだけれど。

 唯一“裏事情”を知っている風太だけが、きょろきょろと視線を動かしていた。
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