貴方との奇跡
2週間後の週末にご飯を食べに行く事になった。

あっという間に2週間経ってしまった。

いつもだったらダラダラ仕事しているけど今日は定時で帰った。

流石に洋服も着替えたかったし、メイクもちゃんとして行きたかった。


やっぱり、緊張する。

3年振りに親友とちゃんと逢う。

色々質問されるのは覚悟の上。



19時にフレンチのお店で待ち合わせ。

私が、住んでいるアパートの近所だけど行った事がない。

この3年間がむしゃらに仕事をしていたからこんなお洒落のお店行けなかったなあ。


「茜。こっち。」

楓は先にお店に入っていた。

大学時代からいつもお洒落で可愛らしい格好してたっけ。

こんなに間近で楓を見るのも本当に久しぶりだった。



「何か久しぶりだね。こうやってご飯食べるの。」

楓は大学時代と変わらない笑顔で話しかけてくれた。

「そうだね。久しぶり。」

それは、私が、携帯電話の番号もアドレスも変えたから連絡出来なくさせてしまったから。

「茜。何食べる? 私、このセットにしようかなあ。」

「私も同じので。」

緊張してて料理の味は解らなかった。


楓は美味しいって食べてたから多分、美味しい料理だったんだと思う。

デザートと珈琲を飲みながら楓が寂しそうに話して来た。


「何で相談してくれなかったの?」

「………ごめん。」

顔を合わせられなかった。

逆の立場だったら私だって悲しいもん。

「別に大輔先輩と別れたって私は、親友だよ。何が合ったの?大輔先輩と。」

「大輔は何も悪くない。私が、悪いの。」

そう、悪いのは私。

あの時、すべて話せなかった私が、悪い。


「茜。浮気でもしてた?」

「浮気はしてない。」

「じゃあ何で!? お似合いだったじゃあない。」

楓の口調が上がった。

それでも、私は、騎乗に振舞う事しか出来なかった。


「色々合ったの。」

「色々って何!?」

怒りたい気分なのも解る。

確信言わないんだもん。

私は、話せなかった。

空気が濁る感じが身体にヒシヒシと感じて来た。

何分経ったのだろう。





そんな中、3年前、私の瞳を真直ぐ見つめ、自分の気持ちを伝えて来た声が聞こえて来た。







「……………茜。」




私は、振り向く事が出来なかった。

瞳を固く閉じ下を向いた。
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