水泳のお時間<番外編>
ミーン

ミーン



「夏休みは、ハメをはずし過ぎないように」



さっきからセミの音がうるさいってだけでかなりイラついてるってのに



ジリジリとこのくそ熱い体育館で、

拷問としか思えないような校長の演説は延々と続けられる。



どうせ右から左に流れるだけの、長い終業式をようやく終えたあとは


かったるい授業からも解放され

明日から俺たち学生には遊び放題の夏休みが待っている。



…と言っても三年の俺らには冬の大学受験が待ち構えてて

夏休みどころじゃねーんだけどな。



そんな皮肉めいた事を考えながら

放課後、自販のコーラを取手口から取り出そうとしたその時。


パタパタと音を立てながら、こっちに近づいてくる桐谷さんを見かけた。
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