white coat
「ゆっくり深呼吸」
なんでこいつがあたしの病気のこと知ってんの?
でも今はこいつの言うことを聞くしかない
乱れる呼吸の中で、必死に深呼吸を繰り返す
あぁもう… 人前で倒れる柄じゃないのに
他人に弱いところ見せるとか最悪だ
少しずつ落ち着いてきた呼吸
「もう大丈夫っぽいな」
「…ありがとうございました」
「どういたしまして」
「じゃあ…失礼します」
「ちょっとまって!」
グッとあたしの手を引いた男
「なんですか?」
「うち来なよって言ってるじゃん」
いや、あたしが体調悪いの今のでわかったでしょ?
この体で今からやるとか無理
「それは無理」
「なんで?」
「あたし見てのとおり体調悪いの。だから帰らせて」
「体調悪いんなら尚更来て」
そのままあたしの声も聞かずにすたすた歩みを進める