white coat
「杏乃」
声のするほうを見ると先輩がいた
「先輩……ごめんなさいっ!」
「……」
「隠してたこと…ほんとに…ごめん…
あたし小さい頃から心臓病で…」
「別れよ」
「…え?」
「俺、お前のこと幸せにできる自信ないんだ。ごめん」
「そんなっ…あたしは先輩の隣にいるだけで幸せだよっ!!」
「…ごめん」
「な、んで?頑張るから…あたし、病気治せるように頑張るから!」
やだよ
離れたくない
先輩のこと。大好きだから。
「そういうの、めんどくさい」
「へ?」
「毎回発作のこととか気にしなきゃなんないんだろ?
治すために頑張るって言われても。俺別にそんなに杏乃のこと好きじゃないし」
「先輩…?」
「ぶっちゃけ杏乃は顔が可愛いから付き合っただけ。他にだって杏乃くらい可愛い子いるし。もっと楽に付き合いたいから。重いの無理」
「何言って…」
「今まで遊んでくれてありがと。んじゃ」
先輩は、何食わぬ顔であたしの前から消えていった