みんなみたいに上手に生きられない君へ
何を言ったらいいのか分からなかった。
言葉が出てこなかった。  



「......分からなかった」  



先生にさえ、何を言ったらいいのか分からない。 
上手く説明できない。

だけど、そんな私を先生は責めることもなく、それ以上追及することもなく、そうなんだねと優しくうなずく。 



「それに......、私に、彼に何かを言う資格なんて、なかったんです」

「どうしてそう思うの?」

「私自身が一番、ありのままの自分を認められてないから」
 


どうして、なんて決まってる。

私は、和也くんより誰より、自分の弱いところを拒絶して、逃げ続けている人間だから。
 
それなのに、人にはあんなこと言うなんて......。
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