両想い大作戦‼
Stategy 6
憎き姉…愛。

誰でもいい。話し聞いてほしかった。

一コンコン一

「どうぞ」

「愛…恋愛相談してもいい?」

何?面倒…って顔に書いてあるのは気のせいでしょうか。

「ブタも恋始めたか…」

「痩せましたけど」

「で…何?」

自分から人をいじってその切り替えなくない?

まぁいいや…いつもの事。

「実は…彼氏できたの」

「はぁ‼マジ?」

すごい食い付き‼

「なんだけど…私の事好きじゃないんだって…」

「じゃぁ…別れたの?」

「好きじゃないけど、彼女にしてくれるって」

「はぁ…」

愛の口あきっぱなし。

「それでも良かったら彼女にしてくれるって…詮索は嫌いだからしないでほしいとか…」

「それって彼女じゃなくていいじゃん」

愛さん、ごもっとも‼

「嫌いになれないのって…私バカ?」

「バカだね‼間違いない‼」

だよね…。

愛は一言。

「その人じゃなきゃダメな理由でもあるの?」

「イケメン‼タイプ‼だけ…」

「他探せば?」

やっぱりそうなるよね。

普通の人は…。

誰に話しても解決法はない‼

わかってる。

ずっとずっとモヤモヤする。

自分の事も嫌いになりそう…。


眠れない…眠れない…

「マロン」静かに呼んでみた。

マロンですら面倒くさそうに歩いてくる。

自分の部屋に連れてって無理矢理抱きしめて寝た。


迷惑な飼い主。


寝不足…学校…行きたくない…。

「おはよ‼舞‼」ななだ。

「おはよ…」

「舞…最近元気ないね。舞らしくないよ」

能天気キャラだった頃に戻りたい。

「私…航大くん…諦める」

「それがいいよ」

あっさり…。

私がこんなにも悩んでいるのに、教室入ったら楽しそうな自己中なアイツ。

佐久間さんの言っていた「純粋」は見た目だけ。


私は決めたら即行動。

友達との会話に割って入った。

「航大くん、おはよ。彼女になれないから」

周りの友達は「今、航大フラれたの?」

「そうみたいだな」

何だこの軽い感じ。

腹立つ。


大きな音を立ててイスをひいた。


授業中もイライラ‼
お昼ご飯やけ食い‼

弁当、焼きそばパン二つ。

く、く、く、く、苦しい。


胃袋が満たされたら眠気が来る。

先生に教科書で頭叩かれて起こされた。


みんな…笑いすぎ。

教科書すら出してなかった。


寝ると整理された頭。

ちょっと吹っ切れた。

そう、ちょっと吹っ切れた。やっと…それなのに…

「ブー、放課後付き合って‼」

「いやいや…部活ですから」

「休んで‼」

「何で?」

「いいから…」

なんですか?この生き物。

まんまと休みました。部活。

「どこ行くの?」

「俺の家」

「何するの?」

「別に…」

密室…しかも私を好きじゃない人と。

行こうとしてる私もどうかしてる。


一ガチャッ一

「入って‼」

「お邪魔します」

「ここ俺の部屋。入ってて」

「はい…」

どこにすわればいいのかわからず立ってた。

落ち着かない。

そわそわする…。

ドアが開いた。

「うわっ‼立ってないで適当にすわって」

「はぁ…」

「見逃したんでしょ?これ?」

このバラエティ番組。見逃したやつ…。
この日は愛がドラマ録画してたし、悩んでるうちに見逃した番組…。

「何で?」

「賢人と話してたから」

聞いてたの?会話。

「こんな事されたら…嫌いになれないじゃん」

「嫌いにはなってほしくないから…」

「勝手だよ…」

「だよな…」

そう言って笑う航大くんはズルイ。

私はその番組を見せてもらった。

内容は絶対面白いはずなのに笑えないよ…。


番組のエンディング。

全く内容わかりません‼

「私…帰るね?」

「あのさ彼女…本当にやめるの?」

「航大くんは諦めがつくの待ってるの?」

「そんな面倒な事しないよ?」

余裕だね。

「私、初恋なの。遊びで私に構うのやめて…」

「遊びじゃないけど」

「じゃぁ…何?」

「俺も気になるから…それが好きか聞かれたらわかんないだけ」

だけってそこが重要でしょ?

「航大くんが私を好きになってくれるまで彼女はいいや」

「わかった…」

二人で話した結果がこれ。


その後もこの関係は変わらない。

特に連絡を取るわけでもなく、たまに休み時間話したり、放課後遊ぶくらい。

だけど、私が「これ食べたい」とか「このDVD欲しい」とかいうと覚えててくれて、さりげなく買ってくれたり、借りてきてくれたりする。

この期間私がした作戦…。

「一歩引く」

これはいい。

さえの提案です…。

「恋愛は引くのも必要」だと。


単純な私は決行した。


まずまずの手応え。
< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop