山賊上がりの近衛兵

覚悟と証明

 圧倒的な有利な状況。一転して機動力を落とされ血が流れ出る男はもはや冷静ではない。

 男が剣を振るう、カルバドスはこれを斧頭で軌道を変える。男が蹴りを放つ。カルバドスは……これに自ら飛び込み、威力を途中で相殺した瞬間に獲物で反撃する。片足のみしか地についていない男の生半可な防御ではこれを受けきることはできない。

「う、う、うがぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 そうして次の一撃だった。足を引き摺りながらも急接近した男の突き。既に戦い始めたときのスピードとは雲泥の差があったこともあり、既に覚悟を決めてしまったカルバドスは実に冷静。

 綺麗に、剣の接触と合わせたかのようなタイミングに後ろ回り、これをいなすと……

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 その回転による遠心力を利用して、突きの動作で完全にガラ空きになってしまった男の背中に精いっぱいの一撃を叩きこんだ。

 いくらカルバドスがまだ13になったばかりの少年とは言え、人を殺す為の戦斧の一撃。

 男の命を奪い取るには、それだけで十分だった。
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