ナナクセ探し 中学生編
スリー♪♪♪
委員会が終わって教室に戻ると、川野が一人でいた。

付き合い出してから数日たったが、二人っきりになるのは初めてだ。

「篠田、待ってるの?」

「うん。」

俺を待ってたと言ってくれるのは、一体、いつだろうか。

「俺、着替えるから。」

今日は彼女が後ろを向いてから脱ぎ出す。

耳まで赤くなっているのだろうか、と想像したら、手をのばして抱き締めたくなってきた。


着替え終わり、彼女の机の上を覗き込む。

「勉強してたの?」

「待ってるついでに宿題やろうと思って。でも、難しくてわからないの。」

「どれ?」
問題を見る。
ああ、これか。

「これはね、今日やった問題の応用だよ。川野?聞いてる?」

気付くとすぐ近くに彼女の顔があった。

そして、何か言いたげに俺を見つめている。

ヤバイ。
彼女の唇に引き込まれそうだ。

まだ、付き合って数日しか経ってないのに、いきなりそんな事をしたら、嫌われてしまいそうだ。

「あ、ごめん。ああ、うん、応用ね。
やってみる。有り難う。」

彼女の視線がおよいでいる。

なんだか、とてもいじらしくて、手をのばして頭にポンポンと数度触れた。

そして、つい、彼女の頭に唇をつけてしまう。

これ以上はヤバイ。

彼女を見ず、何も言わずに教室から走り出してしまった。

一体、どう思われただろうか。

俺はもっと、自分を押さえる事を覚えるべきだと反省した。
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