ナナクセ探し 中学生編
「おはよ~。
村上君も来てくれたんだ。」

篠田の声が聞こえて、いつの間にかうつむいていた顔を上げる。

……やっぱり、思った通りだ。

「ああ、前田とかも誘ったんだけど、都合悪くて。

さ、いこうか。」

松木が言うのが聞こえる。

俺達の前には、松木の彼女の篠田宏美と、そしてその友人の、川野光子が立っていた。

松木と篠田が肩を並べて歩き出すので、必然的に俺と川野が並んで歩く事になる。

気まずい気分の中、映画館に着いた。

松木、篠田、川野、俺の順で四人並んで座り、映画を見る。

それほど見たかった映画でもなかったし、隣の彼女が居心地悪そうにモゾモゾするので、内容はほとんど頭に入らない。

あからさまに彼女を見る訳にもいかないが、横目で様子をうかがっている自分がいた。


はぁ、何してるんだろう、俺。

今さら帰る訳にもいかないし。

彼女はと言えば、松木達の様子をうかがっているようだ。
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