上司な同期は激甘サンタ
告白するつもりもないくせに、恋しくて泣くだなんて、ズルいと思う。
でも気持ちに嘘はつけなくて、涙が止まらなかった。


山口さんを見ていて思ったんだ。
たとえ騙されていたとしても、本気で恋した彼女に悔いはなかったんじゃないだろうか。他人から、利用された馬鹿な女だと思われたとしても、その瞬間彼女の恋心は満足だったんじゃないか、と。


それに比べて、ダラダラと言い訳を並べて自分にさえ向き合わない私は臆病者だ。
同期や部下なんて立場、本心では全然納得してないのに。それさえ失わなければいいんだと、自分を誤魔化して。


こんな片思い、ズルズル続けても何にもならない。山口さんみたいに前に一歩を踏み出す事も出来ない。
こんな事じゃ、わたしに負けないように頑張ると言ってくれた山口さんにも申し訳ない。


ぐいぐい乱暴に目をこすって、決心する。


告白しよう。告白してキチンと振られて、それから一歩を踏み出そう。
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