魔法使い、拾います!
「守護長!どちらにいらっしゃいますか!?守護長!」

大きくもなく小さくもなく、でも必死さが伝わる声が大通りの方から聞こえてきた。その声に反応してか、ほんの少しヴァルの体に緊張が走る。

「さ!リュイが肩を貸してくれているうちに移動してしまいましょう。」

「移動?何処へ?」

「リュイの自宅ですよ。チャチャっとやってしまいましょう。リュイの小さな体にのしかかって、僕は負担になっていますから。」

「ちょっと待ってよ、自宅って何?それよりこの声、もしかしてヴァルの事を探しているんじゃないの?私そんなに小さくはないし、体力もある方だと思うから。急がなくても大丈夫だよ。返事しなくていいの?」

重いのは事実だが、それより大通りの声が気になる。

「僕を?まさか。違いますよ。」

ははは…と、不自然な笑い声でヴァルが答えた。この場を誤魔化そうとしているのはリュイにも分かる。そもそも魔法使いともあろう立場の人が、隠れるようにこんな路地裏に居ること自体が変なのだ

「でも言われてみれば確かに、ティアよりリュイの方が大きい気がしますね。」

あからさまに話を変えてきたヴァル。大通りの声には、よほど触れてほしくないらしい。それならそれでいいのだが。
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