僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。


学校も終わり、一人家路につく俺。


———2年前、俺は交通事故にあったんだそうだ。


横断歩道を渡っている時に大型トラックにはねられるも、奇跡的な回復をしてここまで至っている。

現在は高校二年生として勉学にはぐんでいる普通の高校生である。

名前は風磨 和玖(かざま わく)。

ここまでは普通なのだろうが、あの事故からちょっとだけ俺の人生が狂った。


「……うーんと、俺の家は…っと…」


分かれ道を右に曲がる。


そう。

あの事故以来、記憶がすべてすっ飛んでしまったのだ。


両親の名前も、友達の名前も、あるいはもっと大切な存在も…いなかったかもしれないけど、それすらも忘れてしまったのだった。

どこの学校に通っていたのかもわからないし、本当に、いわば記憶喪失というものになっていた。


頭部を強打し、脳震盪のみで済んだ俺は本当に奇跡としか言いようがなくて。


脳出血とかだったら今頃集中治療病棟で逝ってるだろうなって。


ただ、その代償が、あまりにも…大きすぎたんだ。

だから、あの事故からの二年分の記憶しか、今の俺には存在していない。

後ろの席の吉田とも、もっと、仲良かったんだろうか。



< 2 / 72 >

この作品をシェア

pagetop