道の果て・・

運命を感じて

そこには夏生の姿があった。

「和津?」
驚いた顔をして彼は泣いている
私を見つめていた。

そして彼は私に怒鳴った。
「なんで、あの時出て行ったんだ!
 どうしていつもお前は
 1人で抱え込むんだ!」
彼の声は震えていた。

「俺はそんなに頼りにならないか?」
震える声で彼が言った。

そして奈津の姿に気付いた彼は
震える手で奈津にそっと
触れた。

「・・・もしかして、あの時の」
彼はそこまで言って
もぅ言葉が出ないようだった。

私はなるべく平静を装って
「違う違う・・あのときの子じゃないよ。
 私、結婚したの」
うそだった。
でもそう言ってあげなければ
いけないようなそんな気持ちになっていた。
今さらあなたの子供よなんて
言ってしまったら彼は苦しむだろうと
また、私はここで回り道を
選んでしまった。
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