謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)
「何でもいいよ」
そう男に言われたので
遠慮なくフードメニューに顔を埋める。
今朝から食パン一枚しか食べてない。
先が見えないから
節約生活の真っ最中の貧困生活。
怪し過ぎる職業なら
ここでサヨナラしようと思ってるので遠慮はやめよう。
コーヒーチェーン店でサンドイッチとアップルパイを注文し、男の正面で味わって幸せを確認する。
あぁ美味しい。
泣けそう。
話もせずガツガツ食べる私に引きながら、男はコーヒーを口にして自己紹介。
「僕はこーゆー者です」
胸元から名刺入れを出し
スッと目の前に差し出されたのは、一枚のピンク色の名刺。
黒バラと紫の蝶が飛んでいる横で、着物姿のお姉さんが私をガン見。
「彩音さん……っておっしゃるんですか?」
アボガドを口から落とさないように聞くと
「え?あ、違う!」
焦ってピンクの名刺を撤収して
別の一枚を探り出した。
そこには
【探偵事務所 j
探偵 畑山 直樹 】
そして住所と電話番号が小さく書かれていた。
「本当に探偵さんなんですね」
素直に私が言うと
「僕は嘘とは無縁の男さ」
ドヤ顔で言われてしまった。
これ
絶対嘘だろう。