ハルとオオカミ
「大丈夫だから。あとで落ち着いて話そ」
アキちゃんの言葉を聞いて、ようやく思考が動き始めた。
私が席に着くと同時に先生が入ってきて、号令をかける。
いつも通りの一日が始まったのに、どこか違和感があった。
……ああ、そっか。
最近は毎朝、五十嵐くんが『おはよう、河名さん』って言ってくれてたから。
彼はさっき、一度も私を『河名さん』と呼ばなかったんだ。
*
それから、1限から4限まで授業があったけど、五十嵐くんが私に話しかけてくれることはなかった。
いつもは、午前中に一度は授業でわからないことがあったら聞いてくるのに。
昼休み、アキちゃんと中庭に行って、私はお弁当を前にうなだれていた。