ハルとオオカミ



「大丈夫だから。あとで落ち着いて話そ」


アキちゃんの言葉を聞いて、ようやく思考が動き始めた。


私が席に着くと同時に先生が入ってきて、号令をかける。


いつも通りの一日が始まったのに、どこか違和感があった。


……ああ、そっか。

最近は毎朝、五十嵐くんが『おはよう、河名さん』って言ってくれてたから。



彼はさっき、一度も私を『河名さん』と呼ばなかったんだ。






それから、1限から4限まで授業があったけど、五十嵐くんが私に話しかけてくれることはなかった。


いつもは、午前中に一度は授業でわからないことがあったら聞いてくるのに。


昼休み、アキちゃんと中庭に行って、私はお弁当を前にうなだれていた。

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