ハルとオオカミ
だから私もあくまで『委員長』の域を出ないように気を付けた。
委員長が問題児にお節介を焼いてるだけだって、それだけの関係に見えるように振る舞った。
『もう、こんな問題児に構ってくんなくていいよ』
……だから、五十嵐くん自身がそう感じてしまうのは当然なんだ。自業自得。
浅ましい気持ちを、優しさのフリして誤魔化そうとした罰。
憧れのひとに対して、私は真正面から向き合ってこなかったんだ。どっちみち嫌われていた気さえする。
「……私、最低だ……」
また静かに涙を流す私を見て、アキちゃんが気遣わしげに目を伏せた。
五十嵐くんはアイドルじゃない。
話しかけたら答えてくれるし、当たり前に私の名前を呼んでくれる。
朝は『おはよう』って声かけてくれるし、授業でわからないところがあったら尋ねてくる。
夜遅くなったら家まで送ってくれて、『また明日』って言ってくれる。嬉しいことがあったら笑うし、嫌なことがあったら不満そうな顔をする。
彼はテレビの向こうのアイドルじゃない。
私と同じ学校に通う、ただの男子高校生だ。
なのに私は、自分勝手なフィルターをかけて、自分の都合のいいように彼を見つめて、話しかけて。
今まで、なんて失礼なことをしてたんだろう。