王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない
「なんでですか? 今回の革命は王族を滅ぼすことが目的だったハズです。私が生きている限り、成功とはならないでしょう?」
納得いかなくて聞くと、男の人は立ち上がり、私に近づく。
相変わらず、悲しそうなツラそうな顔だった。
「そうでもないんじゃない? 厳しい身分差をなくすことがそもそもの目的だし、だとすればそれは国が散った今、事実上解消されたことになる」
目の前まで近づいた男の人が「だから、すでに成功してる」と言いきるから、眉を寄せた。
そんな私に男の人が続ける。
「それは、生き延びたのがもしも国王だとしても考えは変わらない。王座から退いた以上、深追いするつもりはないし、そんな時間も労力も国の再建に注ぐのが正しいと思うから。……納得してくれた?」
革命の目的は、あくまでも身分差の解消であって、王族の生死ではないということだろうか。
私を庇っているのか、本当にそういう考え方なのかは分からないけれど、これ以上粘ったところで男の人の意見は変わらなそうだと思い、話題を変える。
「……テネーブル王国は、これからどうなるんですか?」
この国、グランツ王国に吸収されるのだろうか。
そう思い聞くと、男の人はにこっと笑う。
「今回、俺たちはテネーブル王国の革命派のヤツらの意見に賛同して力を貸したまでだ。だから、再建は自分たちでするハズだよ。革命派で指揮をとっていたヤツがうまいことまとめるだろうから、俺たちはそれを見届けるだけかな」
「見届けるって……」
「ああ、でも、国が崩壊したって聞いてそこを攻め込んでくるヤツもいるかもしれないから、テネーブル王国は今後、グランツ王国の支配下に置くってことで周辺の国には伝えてるけどね。再建に必死になってるところに邪魔が入るのは可哀想だし」
手厚すぎるように思える対応に、自然と顔をしかめていた。
だってそんなのおかしい。