久遠の絆
「私はあなたの側を離れるつもりはない。しかしあの時からあなたは、いつも無理をしているように思えるのです」


「……」


「親しかったカイルさまと袂を分かってまで、あなたが本当に求めるものとはなんなのです?」


帝国を出ると決めてから、彼がこのように詰問してくることはなかった。


いつもシドの後に黙々と従い、命ぜられるまま動いてきたのだ。


今まで胸に秘めてきたことを吐き出している。


シドにはそのように感じられるのだった。


「帝国は潰さなくてはならない。だが、あいつは帝国を捨てることはない」


「断定できますか?」


「俺は、お前よりはあいつを知っているからな」


「……」


「あいつが帝国を、皇帝を見捨てることは絶対ない。俺が捨てたものを、あいつは最後まで守ろうとするだろう。
だがそれでも俺は、あいつを見捨てることが出来ないんだ。ヘラルド」


「はい」


「もしあいつと共にいられるなら、俺は喜んであいつの片腕となろう。しかし俺達の目指すものは違い過ぎる。
この世界を立て直すまで、俺とあいつが相容れることはないだろう」


そう言ったまま、シドは向こうを向いてしまった。


腹心に心情を吐露してしまい、照れくさくなったのかもしれない。


そんなシドに、ヘラルドは敬礼した。


「私は何があろうと、シドさまのお側に……」


早く去れとでも言うようにシドは手を振った。


ヘラルドはくすりと笑う。


そして。




『元帥の許に送り込んだ内偵は、よく働いてくれますよ』




そのような言葉を残して退室したのだった。

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