久遠の絆
蘭は安心し切って身を寄せている。


そのことが、シドにはたまらなく愛おしかった。


今すぐにでも掻っ攫って、二人で何処か人目の付かない場所に隠棲してしまいたかった。


何故これ程までに、この少女に惹かれるのか。


こうして気を許してくれているということは、彼女も同じ気持ちでいてくれるから?


確信は持てなかった。


何しろ、シドにとっては初恋。


青春を政治と軍事に費やしてきたのだ。


女性が何を考えているのか、どう扱えばいいのか。


いま一つ分からない所があった。


だから想いが溢れるのをどうすることもできず、こうして抱き寄せるだけで精一杯だった。


(もし、蘭も同じ気持ちでいてくれるなら)


それは至上の喜びだったけれど、今それを確かめる勇気はない。


敵が来れば、命を惜しむことなく向かって行けるのに。


(難しいもんだな。恋というのは)


今はただ。


自分の腕の中に愛しい存在がいる。


それだけで十分な、シドだった。









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