星空
心の余裕
それからというもの、毎日朝練はあるし部活は8時まであるし1日が長く感じた。

「真由ちゃん!」
「…っはい!!」

私は立ったまま寝てたらしい

「疲れてるのはわかるけど、みんながんばってるんだから、真由ちゃんも頑張ろうね」

優香先輩が困ったように笑う。

「はい、すいません…」

立ったまま寝るなんて…

「立ったまま寝るなんてすごいね笑」

三品が話しかけてきた。
初めての部活から1週間ぐらいたっていてもう三品とは普通に話せるようになった。

「ほんと…自分でもびっくり(苦笑)」
「明日はOFFだから頑張ろ」
「うん…」

マネージャーの仕事をしてわかったことがある。
私たちの存在は部員からしたら「当たり前」だということ。
飲み物があるのは当たり前で部員のために私たちマネージャーが洗い物や洗濯をするのは当たり前…
正直「ありがとう」って言葉が毎日聞けると思ってた。
部員から「ありがとう」を言われたことあったっけ…?

「はぁ…」
「なにため息ついてるの?」

隣から声をかけてきたのは、自己紹介の時に気になった人。名前…なんだっけ…

「あー、ううん、なんでもないの」
「ふーん…あ。あそこの球拭いといてくれる?」
「あ、うん…わかった」

(自分でやってよ…)
彼にむかついてしまった。雑用はマネージャーの仕事なのだから当たり前なのに…。
自分の仕事で手一杯なのに他の仕事まで追加されたらもう余裕が無い。

「真由ちゃん大丈夫?手伝おうか?」

優香先輩が声をかけてきた。まるで天使だ。

「優香先輩〜〜〜〜っ」
「球拭きは私がやっといてあげるから、あっちお願いできる?」
「は、はい!ありがとうございます!」

優香先輩は優しい。自分の仕事で手一杯の私とは比べ物にならないくらい優香先輩は仕事が早い。私にお願いした仕事も元は私がやることだ。優香先輩の優しさに心がしみる。

気づけばあたりはもう真っ暗になっていた。
練習が終わり、やっと解放される。
私は何に向かって走ってるんだろう。
空に輝く星に向かって心の中で問いかけた。
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