100回の好きの行方
「私たちの損失は図り知れません。霧加屋ギャラリーに関するすべての案件を白紙に戻させていただきます!」

 貴乃の凛とした言葉がフロア内に響き渡ると、慌てふためいたのはインテリア部門の皆だ。

 インテリア部門の8割が、霧加屋ギャラリーに関するものであるため、白紙にされると仕事も出来ないし、損失も大いにある。

「霧加屋社長!!お待ちください!!」

 インテリア部門の課長が、どうにかならないかと呼び止めるが、貴乃は、振り向きもせずさっさとフロアから出ていく。

「貴乃さん!!貴乃さん!!」

 麻嘉の声かけにも応じる様子はないたも、麻嘉はフロアのみんなを申しわけなさそうにみてしまう。

「総務に異動させられたのは何でだ?」

「……社長に言われて。」

 嘉也に聞かれ正直に話すと、嘉也は項垂れているインテリア部門の課長と神妙な顔をしている佐伯を見て話し出した。

「社長から直接、異動の理由を聞かせていただいて、彼女からの謝罪があればギャラリーの件は私がどうにしましょう。直接、朝倉霧島流の本家にお越しくださいと伝えて下さい。……じゃ、麻嘉行くよ。」

 言いたいことを言って、麻嘉を引っ張るようにフロアを出ていく。

 
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