100回の好きの行方
ー完璧メイクとドレスアップーの行方

 麻嘉は明らかに落ち込ん、オフィスでため息ばかりをついていた。

「ちょっと、麻嘉ちゃん、デザイン煮詰まってんの?」

 横でこんなにため息ばかりをつかれ、さすがに気にするあかねに対して、麻嘉は首を横に振り、また、ため息をつく。

「違うんです…デザインは完璧に6パターン出来たんです。」

「なら、その長くて、私も不幸になりそうなため息は何?」

 よくぞ聞いてくれましたとばかりに、隣の席のあかねにすがるように質問する。

「どうしたら篤斗に気持ちが伝わるんでしょうか?」

「はぁ!?」

「お弁当もめちゃくちゃ美味しいって言ってくれたんです!でも、何度好きって言っても全く伝わらなくて…。」

 あかねぬ回答を求めてくる瞳は、チワワのように、うる
うるしている。

 あの日、"美味しかった"とお弁当を誉めてくれたが、全くなんの進展もなく、あのあとの、"大好き!"なんて、軽くかわされてしまった。

 まるで、"あめとムチ"だと、麻嘉は思う。

 麻嘉をドキッさせたり、嬉しい言葉を言ってくれるが、本当に欲しい言葉は絶対言ってくれないし、軽く流される。

「嵜村くんって、何て言うか悪気はないけど女心がわからないことあるもんね…。まっ、頑張りなさいよ。」

 あかねから言われたのは、労いの言葉だけだった。
< 21 / 188 >

この作品をシェア

pagetop