100回の好きの行方
「付き合ってとは言われてない。そもそも、本気か分からないじゃん。」

 その言葉に、麻嘉は胸がえぐられるくらい、苦しくなる。

(30回、今までに伝えた。でも、その思いすべてを否定されたんだ。)

 泣きたい気持ちを堪えて、ただお弁当をじっと見ていた。

「じゃーなんで、キスなんてしたんだよ!あんな誰が見てるか分からないところで。それも、自分を好きだと言う麻嘉に。」

「なっ!?……こんなとこで言うなよ。」

 二人の言い争いは止まる事を知らず、尚志の声が大きいため、麻嘉と篤斗を交互に見てざわめきだした。あかねと佐伯もびっくりしているのが、麻嘉にも伝わる。

 尚志は篤斗の慌てる様子を見て、"最低だわ。"と言いながら道を開けると、篤斗はデスクにかばんを置きにくる。

「……おはようございます。」

 気まずい雰囲気の中、挨拶してデスクに着くが、挨拶をする人物は誰もいなかった。すぐにデスクを離れようとする篤斗に麻嘉が呟いた。

「酔ってたんだよね……?」

「……。」

「彼女……篤斗に何回好きっていったの?50回、80回、それ以上?」

「……1回。」

 麻嘉がゆっくり椅子から立ち上がり、篤斗に視線を向ける。
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