100回の好きの行方
「私が煽ったんだけど、私はこうなったこと麻嘉には、後悔して欲しくない。」

 千華がアヒージョを口に頬張ってる篤斗を見ながら言う。

 篤斗は、千華から視線を外し、やたらとキラキラと光るネオンを見ていた。

 まさか、麻嘉が初めてだったなんて。

 知ってればもっと優しく、大事に、労るように抱いたのに。嫌ちがう、あんな感じで抱いたらいけなかった。

 あの時、顔をしかめたのは痛みがあったんじゃないだろうか。

 今になって知ってしまった事実に、打ちのめされそうだった。

「篤斗、いいのよ。あの子の嫌な記憶、塗り替えてくれたんだから。だれも責めないわよ。……あんたの彼女以外」

 その、彼女と言う言葉が重くのしかかる。

*******

 台風の日の次の日。車でやっとのことで帰ってくると、自分のマンションの前に彼女ー菜月ーの姿があった。

 篤斗を見るなら、怪訝そうな顔をして何か言いたそうにしているのが分かる。

「篤斗!」

「なんだよ、家まで押し掛けてくるなよ?」

「私、何回もメールしたし電話もしたよ!何ででないのょ?どうして?」

 すごい剣幕で本当の彼女のようなことを言ってくる。

「出張で疲れてんだけど。」

「ねぇ私の質問に答えてよ!!」

「うるさいよ。」

 そう言いながらエントランスを抜けるが、菜月は、部屋まで着いて来たのだ。
< 84 / 188 >

この作品をシェア

pagetop