100回の好きの行方
「会社で噂になってるの。二人に何かあったんじゃないかって。二人の方がお似合いだって。私の立場がないじゃない!」

 玄関口で靴を脱ぎながら、捲し立てるように言う菜月にもはや初めにもった印章など無いに等しい。

「ねぇ、何で靴を脱いでるの?話は玄関口で十分だろ?」

「ちゃんと話がしたいの!」

 それでも尚、ずかずかと部屋に入ってくる。

 篤斗は諦めリビングから寝室に続く壁に寄りかかり、入り口に立っている菜月に視線を向けた。

「そうだな。俺も菜月と話さないといけないことがある。自分がいった最初の頼みごとから、どんどんずれてる。」

「それは……。」

「尚志から聞いてるよ。麻嘉に、名前で呼ぶなとか?同期の旅行に行くなとか?ヤッタとか?色々言ってんってだって?」

 菜月は、黙りこみ悔しそうに下唇を噛んでいる。

「俺は彼氏じゃない、お前も俺の彼女じゃない。干渉してくるなよ。確かに頼みごとされた時、了承したよ。でも、ヤってないのにやったとか、俺がどんな風にお前を抱いたとか言いふらして、俺、本当に嫌なんだよ。……はっきり言ってもう無理だから。」

「!!篤斗っ…ごめんなさい!もう、しないからっ!!」

 決定的な言葉を言われ、悔しそうに下唇を噛んでいた口から漏れるのは、先程までの傲慢な態度と違い反省の言葉だ。

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