サンタクロースは君だった
3.29 お昼過ぎ

「ひかりちゃんの荷物ってこれだけでいいの?」
「えっと…うん。あんまり物を買うのが好きじゃなくて。」
「そうなんだ。冷蔵庫とかそういうのはどうしたの?」
「4月から妹が一人暮らしを始めるからそっちに欲しいって。」
「なるほど。無駄に処分することにならなくて良かったね。」
「うん。…でも、レオくんにお世話になりっぱなしなのは…どうなのかなって思ってるけど。」
「あ、そんなこと?全然。むしろ嬉しいから。」

 そう言うレオの顔が赤く染まる。片手で頬を隠しながらもごもごと話すレオは珍しい。

「…毎日連絡とるのも楽しかったけど、でも、…一番は常に会いたいから。」

 会いたい、その気持ちはひかりも同じだった。あの抱きしめられた感覚を思い出すと、頬が熱くなる。文面でも電話越しの声でもレオを身近に感じることのできる時間はいつだって嬉しい。しかし、一番嬉しいのはこうしてレオと顔を合わせているときであることは、もう偽ることができない。

「…あり、がとう。」

 昼間から二人で顔を赤くしているなんて、傍から見たらバカげている。こんな姿を家族にも友達にも見せられない。レオだから見せられる。

「そ、そういえばさ、ひかりちゃんの誕生日、もうすぐだよね。一緒にお祝いしようね!」
「お祝いなんてそんな…というかいよいよ30歳っていうか…。」
「年は関係ないよ。ひかりちゃんが生まれてきてくれた大事な日だもん。ご両親に感謝、世界に感謝。」
「世界って…飛躍したね。」

 目が合えば、二人で笑う。その時間が優しく過ぎていくことがこんなに穏やかだなんて、本当に知らない世界がひかりには多すぎた気がした。

「ひかりちゃんは欲しいもの、ある?」
「欲しいもの…うーん。」

 ひかりは考え込んでしまった。しいて言えば、勇気くらいだ。

「…う、それはだめだ。」
「え?」
「レ、レオくんに頼むようなことじゃないっていうか…自分でどうにかしなきゃいけないものだから。」
「な、なるほど。僕が協力できるようなことはないのかな?」

 顔を覗き込まれると、少し弱い。言ってしまいそうになる気持ちをぐっと抑える。
< 48 / 91 >

この作品をシェア

pagetop