ある雪の降る日私は運命の恋をする
「すみません、橘さんいますか?」

「はーい、どうしました?清水先生。」

パタパタと駆け足でやってきたのは、朱鳥の担当看護師の橘 萌歌(たちばな もえか)さん。

あまり、朱鳥はあまり話した事がないらしいがいつも、朱鳥の事を親身に考えてくれている。

「朱鳥の事なんだけどさ、本人は隠してみたいだけど、便秘っぽいんだよね。だから、アレやってくれるかな?」

「えっ?清水先生はやらないんですか?」

「あー、俺はね………。別に俺はいいんだけど、朱鳥が嫌がるかなって思ってさ(苦笑)」

”アレ”っていうのは、まあ、便秘の子によくやる処置なんだけど……

「先生、用意できましたよ。じゃあ、行きましょうか。」

橘さんは、行動もテキパキとしていて、素早く、他の医者や患者さんからの信頼も強い。

コンコンッ

「朱鳥ー、大丈夫?入ってもいい?」

「うん。」

「朱鳥ちゃん、入るねー」

部屋に入ると、朱鳥はベッドに腰を掛けて座っていた。

「朱鳥、ちゃんと出た?」

「で、出たよ。」

なんか、朱鳥、焦ってない?

絶対、これ嘘ついてるだろ(苦笑)

「じゃあ、朱鳥、ベッドに寝っ転がってみて。」

「えっ?なんで?」

「お腹張ってないか触らせて?」

そう言うと、朱鳥は観念したのか、大人しく寝っ転がった。

朱鳥のお腹を触ってみると、やっぱり張ってる。

「朱鳥、嘘ついたしょ?まだ、お腹張ってるよ?」

「……………ごめん…なさい……。」

「ん。わかれば良し。もう、嘘なんて吐いちゃダメだぞ?後で、辛い思いするのは朱鳥の方なんだから。」

朱鳥は、反省したのか、少し俯いていた。

俺は、朱鳥の頭をポンポンとしてから、口を開いた。

「じゃあ、朱鳥、橘さんに処置してもらお?」

「え?楓摩は?」

「きっと、俺だったら恥ずかしいと思うから、橘さんにやってもらいな?」

「何…するの?」

橘さんに目線を送ると、橘さんも苦笑いだ。

「えっと…、お腹に薬入れて、出やすくするんだよ。」

「本当に?それだけ?痛い事ない?」

「…少し、お腹が苦しいかもしれない。」

朱鳥は、少し不安そうな顔をしてから、コクンと、頷いた。

「じゃあ、橘さん、お願いします。朱鳥、頑張れ。」

俺は朱鳥の頭を撫でてから、病室を出た。
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