ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side5

今日は、学会があるので朝早くから夕方まで、病院に居れない。

だから、まだ朝の6時前だけど少しでも朱鳥の様子を見ておきたかったので、そっと病室に行くことにした。

そっと、ドアを開ける。

すると、寝ていると思っていた朱鳥は何故か布団の中に潜っているようだった。

もしかしたら、怖い夢を見て怯えているのかな…

そう思い、そっと声をかけてみた。

「朱鳥ー?起きちゃった?」

そう言うと、朱鳥は少しビクッとしてから布団から顔を覗かせて俺に抱っこを求めるように手を伸ばしてきた。

それを見て、布団を捲って朱鳥を抱き上げた。

「朱鳥、どうした?」

優しく問いかける。

「………頭…ガンガンする……」

そう言って、朱鳥はギュッと俺をさっきよりも強く抱きしめた。

俺は、朱鳥の頭を撫でながら声をかけ続ける。

「頭痛いの?熱あるかもしれないから、熱計ろっか?」

そう言うと、朱鳥はウウンと首を横に振った。

「……違う………………」

「ん?なにが違うの?」

「…何か……変な感じがして………寂しくて……辛くて…わからない…………」

「変な感じ?」

コクン

「どうした?」

もう1度問いかける。

「……き…もち…………悪い夢……見た…………」

「そっか。」

俺は、どんな夢かは問い詰めないことにした。

朱鳥が気持ち悪い夢と言うって事は、いつもの昔の夢を見たわけではなさそうだ。

でも、頭も痛いって言っていたし、なにかあったのかな。

そう思ったけど朱鳥も、辛そうだったし、なにしろまだ朝の5時台だ。

だから、俺は1度朱鳥を寝かせる事にした。
< 267 / 505 >

この作品をシェア

pagetop