ある雪の降る日私は運命の恋をする
ピンポーン

「はーい」

ガチャ

「あ、清水先生。わざわざありがとうございます。どうぞ上がってください。」

「うん、ありがとう。」

瀬川くん(兄)は、今日当直で、俺は許可をもらってここに来ていた。

瀬川くん(弟)は、とても礼儀正しく驚いた。

まぁ、それは置いといて、先に朱鳥の話だ。

「清水先生、前苑、先生に何か学校の事言ってました?」

「いや、別に何も聞いてないよ。ただ、毎日疲れた様子だったけどね。」

「そうですか……。やっぱ、相談してなかったんですね。」

「何を?」

そう言うと、少しの間沈黙が流れた。

「……単刀直入に言いますね。」

「うん」

「…前苑は、……………………イジメられてたんです……」

「えっ」

嘘だろ?

だって、あんなに学校行きたいって言ってたじゃないか。

微熱あってまで、行きたがったのは何だったんだ?

「……先生、混乱しますよね。…スミマセン」

「…ごめん。状況がよく、わからなくって」

「…………前苑、今日の授業中具合悪そうにしてたんです。だから、保健室行ったら?って言って、俺が保健室まで着いていこうと思ってたんですが、保健委員の女の子が連れて行っちゃって…」

「それで?」

「その子、前苑に悪口とか言ってた子なんですよ。俺も心配で、俺が行くって言ったんですけど、断られちゃって。その後、俺が保健室に見に行ったら、前苑、保健室に居なくて必死に探したら4階の空き教室で倒れてたんです。」

「……そっか」

朱鳥にそんな事があったのか……

また、独りで悩んで抱えていたのか……

また、独りで全部我慢してたのか……

そうだとしたら、この前の過呼吸も、ある程度の説明が付く。

俺は。はぁ…… と大きなため息をついた。
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