ある雪の降る日私は運命の恋をする
少しして、朱鳥が額にも汗をかきはじめた。

熱が高くなってきたのかな……

俺は、白衣に入れていた体温計をそっと取り出して、朱鳥の脇に挟んだ。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

体温計に表示されたのは、39.3の文字。

かなりの高熱だな……

朱鳥は、嫌がるかもしれないけど、解熱剤を入れた方が良さそうだ。

俺は、そっと朱鳥の傍を抜けて、病室を出た。

解熱剤と冷えピタ、保冷剤を取りに行き、また病室へ戻る。

カラカラッ

静かにドアを開けて病室に入る。

朱鳥は、さっきよりも荒い息をしていて、辛そうだった。

「朱鳥、ごめんね。解熱剤打つよ」

小さく声をかけて、朱鳥の腕をつかむ。

すると、朱鳥は俺の腕を振り払って抵抗した。

「朱鳥?」

そう、声をかけると、朱鳥はうっすらと目を開けた。

どうやら、目を覚ましてしまったようだ。

「朱鳥、ごめんね。今、朱鳥はとっても熱が高いの。…だから、解熱剤打たせて?」

そう言うと、朱鳥は悲しそうな顔して、とても小さな声で

「…ぃゃ…………」

と言った。

「でも、熱高くて辛いしょ?」

そう聞くと、コクン と頷く。

「じゃあ……」

と言うと、また

「ぃゃぁ…………」

と言う。

しょうがなく、俺は、1度解熱剤を打つのを諦めた。

「わかった。なら、今は冷えピタと保冷剤だけにしておくね?」

そう言うと

朱鳥は、コクン と頷いた。

俺は、朱鳥の額の汗を拭き、冷えピタを貼った。

それから、首周りと脇に保冷剤を当ててやった。

「これで、ちょっとは涼しい?」

コクン

「うん。じゃあ、もう寝な?起きてたら辛いよ?」

コクン

そう頷いて、朱鳥は目を閉じた。

数分して、寝息が聞こえてきた。

さっきよりは、楽になったみたいだが、それでも熱は高いから俺は解熱剤を打つことにした。

今度は、朱鳥を起こさないように、そっと腕を掴み、解熱剤の注射を打った。

これで、少しは良くなってくれれば、いいんだけど……
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