ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side

今日、夜勤はないけど、やっぱり朱鳥が心配だから、俺は残って、朱鳥の傍に座っていた。

だけど、夜中の2時頃、急な呼び出しが入って、俺はすぐさま応援に駆けつけた。

1時間ほどして、やっと一段落ついた所で俺はまた、朱鳥の病室へ戻った。

病室のドアを開ける前に、微かに何かが聞こえた。

なにか、嫌な胸騒ぎがする。

急いで、ドアを開けて病室に入る。

すると、そこには痙攣しながら、嘔吐している朱鳥の姿があった。

「朱鳥っ!!」

体を触ると、ものすごく熱い。

さっき、1度は熱が下がったみたいだけど、急激に上がったから熱性痙攣を起こしている。

嘔吐している朱鳥の顔を横に向けて、嘔吐物を飲み込まないようにする。

熱性痙攣なら、少しすれば収まると思うけど…

朱鳥の手を握って、そっと声をかけ続ける。

「朱鳥、大丈夫だよ。ごめんね、来るの遅くなって。」

朱鳥の意識はない。

2分ほどすると、痙攣は徐々に収まっていった。

朱鳥も、意識を取り戻したようで、うっすら目を開けて、涙を流した。

「朱鳥、大丈夫?苦しくない?」

「…………ふ………ま…」

朱鳥はそう言って、涙を流すばかり。

「熱、高いね。ちょっと辛いかもしれないけど、強い解熱剤使ってもいい?」

そう言うと、朱鳥は小さく頷いた。

よっぽど辛いんだな……

いつもなら、嫌がるはずなのに。

俺は、1度病室を出て、解熱剤と冷えピタなどを取りに行った。

小走りで取りに行って、すぐに朱鳥の病室に戻る。

朱鳥は、トロンとした目で苦しそうに息をしている。

「朱鳥ー、注射するよ?肩にするから、少し痛いからね」

肩の筋肉の辺りに消毒をして、注射針を刺す。

「……いたぃ………………」

「ごめんね、ちょっと我慢だよ。」

朱鳥は、涙を流しながら、辛そうに顔を歪める。

「よし。終わり。頑張ったね。偉い。」

そう言って、朱鳥の手を握る。

朱鳥は相変わらずトロンとした目で天井を眺めていた。
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