神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
「最初は凄く怖かった。裏の世界だなんてきっと本堂家と奏しか知らないよね。
お爺ちゃんもお婆ちゃんも桔梗にやられるなんて思いもしなかった。
もう私1人だけ、寂しいよ。過去の記憶も無くて凄く不安なの。
でもね、私、子供の頃から水神様が守ってくれてるはずだからって勇気を持てた。
こんな事言ったら恥ずかしいけど、奏は私の家族みたいな、そんな感じ。
それくらい私は奏が大好きだし、私も自分の死よりも奏の死の方がよっぽど怖い。」
奏は私を見つめていた。
何か言いたげなその眼差しは、愛おしそうに悲しげに、ただ私を見つめるだけで。
「私は、奏が自分から離れていくのが凄く怖いの。
私のそばにずっと居て欲しいなって思うよ」
「そうか」
一言ポツリと呟くと私に背を向けてしまった。
何を考えているのか襖に腰掛け晴れた青い空を眺めている。
「ねえ、奏」