神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
夢から覚めると、桔梗は私の隣で静かに正座をして待っていた。
どこまで私を悲しませたいんだか。
この約束、私が無理に生き返らせてでも果たさせてやる。
「月夜様、嬉しそうですね」
「かなり嬉しい記憶だった」
沈黙が流れる。
きっと桔梗も私を取り込む事を躊躇っている。
自分を落ち着かせて居なければ、理性すら吹っ飛び私を真っ先に取り込んでしまうことが分かってるんだと思う。
「あのね、名もない湖で拾った物なんだけど」
沈黙が辛い。
何かを話さなければと私は気まづい沈黙を破った。
あの湖で拾った水仙紋が刺繍された着物と、あの手紙。
顔色を変えて着物を手にする桔梗の目からは静かに涙が流れた。
(やっぱり‥、)
「この手紙見てください。この端に書かれてるのは、右京と言う文字だと思うんですけど、」
震える手でその手紙を受け取る。
桔梗は泣いていた。
思い出していた。
着物を抱き締め手紙を読む桔梗は、悲しんでいた。
「ごめんなさい‥‥ごめんなさい‥‥」
何度も何度も謝る彼女を私はどうする事も出来ず、落ち着くのを待つしか方法はなかった。