吐息のかかる距離で愛をささやいて
「夏帆、もしかして、元婚約者とのこと気にしてるの?」


図星だ。


「もしかして、まだ未練ある?」



そう尋ねられて、前を見ると、心配そうな涼子の顔がうつった。



私は、ゆっくりと首を横に振る。


「それはない。」



これは断言できる。



はっきりと否定した私を見て、涼子はホッとした表情を見せた。


それから私は、今まで涼子や瑞穂に話していなかった健二と最後の会話の内容を話をした。



「つまり、あの男は、いったんは、子供が欲しくないっていった夏帆の希望を受け入れたくせに、いざ別れる時になって、それを原因だと言ったのね!!」


「う、うん。」



涼子はフォークをグッと握りしめている、おそらく健二が目の前にいたら、フォークで健二を刺してしまうだろう。


「あのクソ男!!ホントにしょうもない奴ね!!
 夏帆!あなた、マジで結婚しなくて良かったわ!!」


涼子は怒りに震えながら私に向かて力説した。


「だいたい、男が若い女と浮気する時にそこまで考えてるはずないんだから!

 あの男はね、自分が浮気しといて、しかも相手を妊娠させたくせに、それを少しでも正当化したくてそんなこといったのよ。」


「そ、そんなことないと思うわ。だって、私、転勤の話も聞かされてなかったのよ。
 初めから、私と別れて今の奥さんを連れて行く気だったんじゃないかしら。」


私の言葉に、怒り狂っていた涼子はピタッと動きを止めた。


「涼子?」


「え?夏帆、もしかして知らないの?」


「何を?」


私が尋ねると、涼子は何やら悩み始めた。


もしかして、何か話そうか迷ってる?


「あなたの、婚約者の転勤。飛ばされただけよ。」


「?!」



衝撃の事実だ。



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