CLASS GAME

過去

「佐藤さん‥だよね?」

ガタッ

「ふふっ、そんなびっくりしないでよ。」

び、びっくりしたぁ!あ、話し掛けてくれたのに嫌な思いさせちゃったかな、早く謝らなきゃ。

「ご‥めんなさい‥‥私」

「謝らなくていいのよ。」

そう言って彼女は微笑んだ。女神様かと思った。

「私は西条椿。あなたは?」

「佐藤‥結衣です。」

また普通だって思われたかな。容姿や名前だけじゃなくて全部つまらないって、あの時みたいに‥。

「素敵な名前ね!結衣ちゃん、宜しくね♪」

「よ、宜しくお願いします!」

「そんなに緊張しなくていいわよ。私達、もう友達でしょ?敬語も無しね!」

その時あの時の記憶が蘇った。


私の家は父の転勤が多くあちこちを転々としていた。

だから学校に馴染めず、何もかもが普通な私は友達もできずにいた。

その時ある子に言われた言葉は今でも覚えている。

「オマエ、フツーすぎて全然つまんねー。だから友達1人もできないんだよ!w」

小さい頃に言われたその言葉は私を鎖のように締め付けていた。

だから、西条さんの「友達」というフレーズが私にとってかけがえのない宝物になった。

「うん、宜しくね!椿ちゃん‼︎」


まだ何も知らない純粋無垢な私にとっては。
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