それはきっと、君に恋をする奇跡。


「願掛けしてる以上はピアスを外さないって決めたらしくて。願いが叶ったら外すんだってよ。一度決めたらとことんやり抜くとこあるからな、蒼のヤツ。……そういや中学ん時からあのピアス変わらねえな」



願いが叶ったら外す……?



「……まだ外せてないってことは……そういうことなのか……」



意味を悟ったように、久保先輩が弱く声を落とす。




『絶対つけるからっ……つけたいしっ……』



いつかそう言ってくれた蒼。


だとしたら。


それは、今つけているピアスを外すことを意味している。


同時に、親友の病気が治ることも意味している。



あの時のあたしには、じゃあどうして今つけてくれないんだろうとしか思えなかったけど。


願掛けしてたなんて。

……そんな、事情だったなんて。


蒼は……どんな気持ちでその言葉を言っていたんだろう……。
< 275 / 392 >

この作品をシェア

pagetop