会いたい
店の中。

「名古屋コーチンの親子丼か〜、美味そ〜」

MAKIDAIの無邪気な笑顔を見ながらの食事。

楓は胸がいっぱいで箸が進まない。

「楓さん、少食だね?女の人って、これくらいが普通?」

楓は半分くらいしか食べていなかった。

「いえ、MAKIDAIさんと一緒ってだけで、もう胸がいっぱいで…」

MAKIDAIは、そう言われて嬉しいような申し訳ないような気持ち。

「でも、もう年齢的には量は少なめにしていかないといけないんですけどね」

「え、楓さん、まだ若いでしょ」

工藤が不思議そうに聞く。

「全然若くないですよ。いくつに見えます?」

「いくつって言われると、んーっ」

二人が首をひねりながら考える。

MAKIDAIは、

「間違って上の年言うと失礼だからなぁ、でも俺より若いのは間違いない。36、いや37位かな」

工藤は、

「いや、もう少し若いでしょ、35とか?」

「二人とも、お気を使って頂いてありがとうございます。答えは内緒ですけど、若く言って貰えて嬉しいです」

楓は嬉しいそうに笑う。

「え、俺より上?」

とMAKIDAI。

「これ以上言ったら、年がバレちゃうからいいませんよ」

「いやいや、年上の人に失礼があったらいけないし」

「いえ、失礼なんてないですよ。MAKIDAIさんは、私にとって憧れの人ですから、何言われても大丈夫ですよ」

「MAKIDAI、いいなぁ、こんな綺麗な人にそんなこと言われて」

工藤は、ニヤニヤしながらMAKIDAIを肘で突く。

「綺麗なんて、全然そんなことないですよ」

楓が慌てて否定するが、MAKIDAIが、

「いや、本当綺麗だよね、工藤ちゃん。絶対に年より若くみえるよね」

MAKIDAIも少しニヤケ気味だ。

「ありがとうございます」

楓は、肩をすくめながら照れ臭そうに笑う。
< 14 / 78 >

この作品をシェア

pagetop