会いたい
「MAKIDAIさん、大丈夫ですか?」

MAKIDAIは頭から、出血しているようだった。

楓は、薄暗い車の中、自分のバックを探しハンカチを取り出し、MAKIDAIの傷口を押さえる。

「…か、楓さん…うぅっ…」

MAKIDAIは、声を出すのも辛そうで、起き上がることも出来ない。

「MAKIDAIさんっ」

楓は、MAKIDAIのそんな姿を見て涙が溢れる。

工藤もこんな事故に遭遇した経験がなく、震える手で必死に119番に電話する。

「皆っ、今…救急車…呼んでるから、頑張れっ…」

工藤は、力を振り絞るように皆んなを励ます。

雪のせいで事故に気付くのに時間を要したが、コンビニの店員も車に駆け寄って来た。

「大丈夫ですかーっ!」

外は相変わらず、吹雪いていて身動きが取れない。

警察も救急車も猛吹雪の為、到着に時間が掛かっている。

「MAKIDAIさん、しっかり…」

楓はMAKIDAIの手を握り締める。

MAKIDAIは意識がもうろうとしている中、なんとなく楓の声だけは聞こえていた。

救急車を待つ間に工藤が楓の怪我に気付いた。

「楓さんっ、血っ…」

額を打った時の傷からの血が頬を伝っていたが、楓は、

「いえ…私は、大丈夫です。…私よりMAKIDAIさん達の方が…」

言葉が詰まる。

MAKIDAIは、痛みに耐えることで精一杯だったが、その会話に気づき、

「楓…さん…はぁ…俺の…ことより…」

必死に声を出す。

「喋らないで下さい…救急車が来るまで…もう少し…もう少し我慢して下さい」

楓の心の中は、MAKIDAIや他のメンバーにもしものことがあってはいけないという思いで一杯だった。
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