会いたい
第10話
楓は、慌ててMAKIDAIから離れ、心配そうに覗き込むと、

「あぁ、そうだ。前から、言おうと思ってたことがあるんだけど」

MAKIDAIは、わざと話を切り替えた。

「なに?」

「あのさ、付き合い始めたんだし、名前の呼び方…MAKIDAIさん…じゃなくてもいいかな、と思って」

MAKIDAIの提案に楓は考えながら答える。

「あぁ…、そうだね。でも、なんて呼べばいい?」

「これっていうのは、決めてないけど」

「そっか、うーん、じゃあ…大輔さん、とか」

「さん、か…」

「あ、大輔君がいい?」

「なんか違うなぁ」

「んー…」

楓は、頭を傾げて必死に考えていたが、イタズラっぽく笑うと、MAKIDAIの耳元に口を近づけて、小さな声で、

「…ダーリン…とか?」

そう言うと、MAKIDAIはにやける。

「じゃあ、俺は、ハニーって呼べばいい?」

MAKIDAIが嬉しそうに言うと、

「えっ、ハニー?」

(ちょっとふざけて言ってみただけなのに)

楓が、顔を赤くしていると

「恥ずかしいけど、たまにはいいでしょ」

MAKIDAIは、笑う。

「練習してみる?」

「え、本当に?……いいよ」

MAKIDAIに言われて、楓ははずかしがりながらも、承諾する。

「じゃあ、楓さんから」

「え、私から?」

「うん」

MAKIDAIは、嬉しそうに楓の言葉を待っている。

「…じゃあ、…ダーリン」

「なに?ハニー」

MAKIDAIは、楓の腰に手を回して甘えてくる。

「ふふっ、コーヒータイムにしない?」

「おっ、いいね」

楓は、立ち上がり際にMAKIDAIの頬に軽くキスをする。

「おっ、こっちもいい」

ご機嫌なMAKIDAIだった。
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